リレーコラムについて

「障がい者」or「障害者」?

岩本光博

コピーライターのみなさん!
「障がい者」と「障害者」、どちらで表記していますか?

どうも、トヨタコニックの岩本です

数年前、
車いすユーザーの人に、こんなことを聞かれました

—–

日本でいちばん多い名前は、佐藤さん
きっと
あなたの知り合いにも佐藤さんがいると思います

では、
知り合いに障害者は何人いますか?
佐藤さんより少なくないですか?

—–

多くの人が
「佐藤さんより、障害者のほうが少ない」
と答えるのではないでしょうか

でも実態は、
佐藤さんは全国に183万人
障害者はなんと1,160万人

実は「障害者は佐藤さんの6倍」もいるんです

これってつまり、
学校や職場で、障害のある人が
今だに隔離されている証拠かもしれません

—–

車いすユーザーが立っていると
「立てるんじゃないか!」と批判されることもあります

身体障害には程度があるのは当然なのに、
健常者か障害者の
0か100かで判断されることが多いのです

まだまだ理解が進んでいないと感じます

—–

で、冒頭の表記問題
僕は「障がい者」ではなく「障害者」と、
漢字表記にこだわっています

過去を振り返ると、21世紀に入ってからか
「害」は当事者に失礼だという流れで
「障がい者」という表記が増えました

でも、最近は
障害の「害」は障害者自身にあるのではなく、
社会側にあるという考えが広がっています

詳しく書くと、

「立って歩けない」という
身体的制約を障害とするのではなく、

「スロープやエレベーターがない」という
環境や社会の仕組みが合わさって
障害が発生しているという考えです

実際に、世の中には
まだまだ多くの障害があるからこそ
注釈で意図を追記しながら、「害」と漢字表記すべきだと感じます

健常者はスロープがなくても困らないように
障害を感じない

だからこそ、漢字にすることで
まだバリアが多いことや、
それを取り除くことの重要さに気付いてほしい

障害は
当事者ががんばって乗り越えるものではなく、
みんなで無くしていくものだと思うんです

—–

ちなみに視覚障害者は
ウェブサイトを見るときに
音声読み上げ機能を使うことがありますが、

「障がい者」だと
「さわりがいしゃ」と読まれてしまうことも

いろんな側面で「障害者」と書くほうがいい
そう考えています
(本当は「障害のある人」と書くのがいいかもですね)

企業として表記統一も大事なので
担当企業によっては漢字を使いづらい面もありますが

表記の話をきっかけに
企業にインクルーシブな世の中に向けた問題提議をしていく

それも、
広告をつくるだけではない
コピーライターの大事な役割だと感じています

—–

いろいろ偉そうに書いちゃいましたが
今日で終わり
一週間、お付き合いありがとうございました!

来週は、見市沖さんにバトンを渡します

大阪時代から
ずっと背中を追いかけているけど、
ずっと追いつかない

独立してどんな景色が見えてるんだろう
楽しみです!!

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