リレーコラムについて

「でないもの」の輪郭

早坂尚樹

余事象的な感覚が好きだ。

Aではない確率を求めることが、
Aである確率を求めることになる。

つまりは、
自分でないものを知ることが、
自分を知ることにつながるという感覚。

(一応、先に断っていくが、数学が専門ではないので、あくまで個人的な肌感で語らせてほしい)

だからここ数年は、
やったことなかったことをして、
好きじゃなかったものを見るようにしている。

自分という存在の輪郭はとても曖昧なもので、
境界線ははっきりとしていない。
そうでない地点をはっきりさせておこうと思ったのだ。

この感覚のいいところは、
嫌なことがあったり、合わない人がいたとしても、
これは、自分ではないものに触れて、
自分を明確にする出来事だったんだと思えること。

足枷となるところは、
誰かを褒めることは、その場にいた、
別の誰かを誉めなかったことになるなどと、
日頃の一挙手一投足に余計な負担をかけることだ。
(いつもこんなことばかり考えて何もできなくなる)

最近では広告も多岐に渡り、
考えなければならないことが増えた。

こういうことには自分は興味がない
という瞬間に触れれば触れるほど、
本当の関心が見えてきた感覚がある。

企画も同じだ。

おもしろいものを考えられるということは、
おもしろくないものを排除できるということだった。

思えば、企画をはじめたての頃、
よく企画になってないと言われていた。

じゃ、どうやったら企画がわかるんですか!
と思っていたが、

企画でないものが分かるようになるにつれて、
自ずとそう言われなくなっていた。

そうでないものを一つずつ除いていくと、
残るものがある。

それは足し算ではなく、
引き算で見えてくる輪郭。

集めたものではなく、
残ってしまったもののほうが、
たぶん自分に近い。

でないものにこそ、鍵はある。

そして、その感覚は
ボディコピーを磨く時も一緒だ。

言うことが決まったあとで、
言わないことを決める。

何を言うかと同じくらい
勇気を持って言わないかも大切だと学んだ。

と言いながらも、
コラムが長文になっているように
感情と理性は、なかなか切り離せない。

饒舌になりすぎる。
書いた一文がかわいくて、消せない。
それが一番、企画を鈍らせている。

コピーライターは、それじゃだめだなと思う。

でもこんな失敗もまた、
コピーライターではない部分を知って、
コピーライターに近づいたということで。

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