リレーコラムについて

マット運動で、大学に合格した話

高階壮秀

野球部を引退して迎えた、高3の夏休み。

志望していた、
横浜国立大学の赤本を眺めていた。

その片隅に、ヘンな入試方法が書いてあった。

体育受験

スポーツ推薦でもない、推薦入試でもない、
なぞの入試方法だった。

調べてみると、以下の概要だった。

ーーー
・センター試験+体育実技によって合否が決まる

・体育実技の内容は、5種目
 ①マット運動
 ②サッカーのリフティング
 ③創作ダンス
 ④短距離走
 ⑤専門競技(僕は、野球を選択)

・教育学部なので、
 体育教員を志す人向けの入試方法

ーーー

野球しかやってこなくて、
模試の判定は、
ずっとEとかFだった。

「横国に受かるなら、
 コレしかないじゃん!!」

瞬発的に、そう思った。

その日から、
5教科7科目+体育の
受験勉強(?)が始まった。

漢文、日本史、マット運動。
数学、生物、ダンス。
リスニング、リフティング、リスニング。

数列の問題が分からなかったら、
数学の先生に聞くように、

マット運動が分からなかったら、
体育科の先生に聞いた。




そんな受験生活を、
約半年間つづけ、
ついに実技試験当日を迎えた。

鬼門は、やはりダンスだった。

テーマが与えられ、
5人の教授が見ている前で、
30秒間無音の中を踊らなければならない。
(ぼくの年は「オリンピック」がテーマだった)

例年、恥ずかしがって踊ってしまい、
減点される受験生が多いのが、
鬼門とされる理由なのだが、

ここまで恥ずかしがることに厳しいのは、
冒頭にも書いたように、
体育の先生を目指す人のためのコースだからだ。

「ダンスってたのしそう!!」
先生の見本を見た子供たちに
そう思ってもらうために、

上手か下手かではなく、
「楽しそうに踊っているか?」が、
採点基準となるらしい。

下手でもいいから、恥を捨てる。
ダンスというか、一発ギャグとか、
その類に近い気もするが、

ぼくは、この日に向けて、
とにかく笑顔で踊ることを磨き上げてきた。




教授が口を開く。
「お好きなタイミングで踊ってください」

人生であの時しか聞いたことがないセリフだった。

僕は、大きく深呼吸をして、
満面の笑みで、踊った。
30秒間、踊りきった。

どんな踊りをしたのか、
記憶は、一切ない。

====
MEGA BIGのコピーで、
今年、新人賞を受賞した
高階 壮秀(たかしなたけひで)と申します。

横浜国立大学を卒業し、
2022年に電通に入社。
4年目のコピーライターです。

大大大尊敬している
早坂さんに回していただいたバトン。
1週間がんばります!!!!

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