ベンチのキャプテン
大学時代、
体育会の硬式野球部で、
キャプテンをやっていた。
しかし、僕はぜんぜん野球が上手くない。
4年間でリーグ戦に出たのは、たった数回だ。
野球が上手くないというのは、
キャプテンとして、
とても致命的なことだ。
まず、プレーで引っ張ることができない。
なぜなら、僕はベンチにいるから。
不調の後輩にアドバイスすることもできない。
なぜなら、その後輩の方が上手いから。
こんな僕についてきてくれて、ありがとう。。。
そんな感傷に浸る間もなく、
リーグ戦は、やってくる。
チームが勝つために。
キャプテンとして、
どうしたらいいんだ…?
考えた末の結論が、
円陣を、がんばることだった。

試合がはじまる直前。
こんな感じで円陣を組んで、
キャプテンから一言!みたいな時間がある。
ぼくは、
その一言を、
とにかくがんばった。
いま、
チームのみんなは、
何を思ってるんだろう?
なにを伝えるべきなんだろう?
どう伝えるのが最適なんだろう?
自分なりに考えて、毎試合やってみた。
「勝つぞ!!!」と、短いときもあれば、
1分くらい、しっかり語るときもあった。
前日の夜に、台本をつくって、
何回も何回も、話す練習もした。
その時間で、
素振りや筋トレをする手もあったけれど、
ベンチにいる僕にとって、
その一言を練ることが、
いちばんチームに貢献できる気がした。
話すのが上手いタイプではないし、
キレの悪い一言や、
意味不明な一言もあったと思う。
けれど、
その一言を考えてる時間が、
すごいたのしかったのを覚えてる。
野球部を引退して
コピーライターになって、4年が経った。
いいコピーは、全然書けないし、
書いたほとんどが、ボツになる。
けれど、
コピー1つ1つを考えている時間は、
とてもたのしい。
コピーライターの毎日は、
ベンチのキャプテンの毎日と、
ちょっと似ているのかもしれない。
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