リレーコラムについて

ぶーたれスイッチ

小山田彰男

私は立派なコピーライターでもないし、TCCへの貢献度合いも高いとは言えないので、
このコラムから逃げ回っていたのですが、電通九州の和久田さんと米村くんの奸計にハマり、こうして書かせていただく事になりました。
よろしくお願いします。

私は、人の話をあんまり聞いていないと言われます。そんな、忘却力抜群の私の脳裏から離れない言葉を引きずり出して、1回目のコラムとしてみたいと思います。

【ぶーたれスイッチ】

渾身のプレゼンの後、例えば3案出した後、「それらをつぎはぎした様なクライアントさんからの戻し、尺に収まらないでたらめコンテ付き」っていう体験をされた方は多いのではないだろうか。しかもそれを、すんなりBPがクライアントから安請け合いしてきた、それを受けての社内会議、みんなスケジュール調整した夕方。もう、想像するだけで目眩がしそう。
チームのみんなからはぶーぶー文句が出る。
クライアントからの戻しコンテに、どうすりゃいいんだ!と目をやり、うなだれる、脱力する、誰かのせいにしたい、お腹すいた。

そんな時に役にたつかもしれない言葉というかメソッドです。
(ただし、うなだれながらも、なんとかしなきゃ!放り出すわけにはいかない!というプロとしての気概を持っているのが大前提。)

以前、同じような惨状で、ボソボソと先輩に言われた言葉が忘れらないのです。
(その先輩の滑舌が悪いので本当にボソボソ)

「あのさー、抑えられないほどの怒りを沸き起こしてしまう、人間の脳のスイッチって、クリエイティブなことを考えるスイッチのすごい近くにあるんだって。だから、こんな風ににぶーたれてるうちに、うっかりクリエイティブな方のスイッチが入って、前よりいい案を思いつくことがあるらしいんだよ」

そのボソボソ先輩は、嘘やその場しのぎのことをいう人ではない。
その言葉を聞いたのは、ずいぶん前で、その薫陶を受けたのは、このチームでは私だけだ。

一か八かで、私は、「ぶーたれスイッチ」を大解放した。
BPが同期だったので遠慮は要らなかったというこもあるが、そいつの心を折るくらいで、まくし立てた。

「あ~ん?だったら、何さ?こういうこと?この戻しを全部、丸ごと無視して、例えば、年齢を重ねた女性が、愛用のティーカップでも持って、人生を達観したかのような余裕かましながら、“あーだーこーだ、うふふ”なーんて、こっちに向かって話すってことか?」

“あーだーこーだ、うふふ”の部分も咄嗟に出てきたセリフだ。老婆の芝居つき。

会議室がシーンとしたのち、「それいいじゃん!」
おいおい、本当にスイッチが入っちゃったよ。で、何がいいのかわからないまま、それをコンテにした企画がピッチで勝利し、実施に至るまで、ほぼ無傷でクライアントの偉い人まで通過していったのです。拾い上げてくれた、BP濱口と小澤裕介がすごい。

このおまじないの言葉を、一つのメソッドとしてリレーコラムでお伝えしたかったのです。
ぶーたれスイッチは、メールのやり取りではダメでして、あくまでも対面。フロアでも会議室でもいい。面と向かって言わないと発動しない、
「制約付きの念能力」(HUNTER×HUNTER参照)のようなものだ。ということも申し添えておきます。

そして、CDを名乗っている側が、ぶーたれから生まれた案を見極めて、拾い上げる、謂わば助産師さんとしての能力がないといけません。

そこから出てきた、「じゃ、こういうことですか!これがお望みですか!」の案がよければ、生まれたての赤ちゃんの様に大事に大事に拾いああげ、お包みに入れてプレゼンするんです。

ただですね、それでもダメな案しか出てこなかった時の対応策はね、実はないんです。
ただただ、ぶーたれの応酬で、そのチームの関係が悪くなって、後味の悪いエンディングとなるんです。

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