リレーコラムについて

おぼろげながら ③

西田良平

みなさま、WEDOしてますか?

 

どうも、大広WEDOの西田良平です。

 

 

40歳も過ぎますと、昔を思い出すことが多くなりまして、

ふと、2年半ほど前のことを懐かしんでしまいました。

 

 

あれは確か、夏の暑さも落ち着き、風がとても心地よい、10月2日の昼下がり。

 

 

街を行き交う人たちも、しっかりとしたスーツに身を包んでいたり、

薄手のカーディガンを羽織っていたり。

 

どこか晴れやかで、それでいておだやかな表情で歩いていて。

 

なんだか、すれ違う人すべてが気品に満ち溢れた大人に見えて、

秋は四季の中で、人を一番洗練させてくれる季節なんじゃないかと、

そんなことを思いながら、あたたかな気持ちで打合せ場所を目指していました。

 

 

もうすぐ、紅葉が色づいていくなぁ。

 

月も綺麗に見えるだろうなぁ。

 

馬に乗りたいなぁ。

 

 

すると、どこからともなく声が聞こえ、

 

持っていたカバンの中を調べられました。

 

 

 

ああ、これが

 

 

 

職質かぁ。

 

 

 

略さずに言うところの、職務質問というものを受けさせていただきました。

 

 

場所は新橋でした。

 

 

JRの構内を歩いていたところ、

 

「はい、ちょっといいですか?」

 

という語気強めの声が聞こえ、

振り向くと、まぎれもなく警察官のお二人が。

 

 

「なんでしょうか」

 

気品に満ちた表情で問いかけますと、

 

「ごめんなさいね。

 

ちょっとお兄さん、新橋でなかなかいない風貌なのでね。

 

一応、荷物、いいですか?」

 

 

特に後ろめたいこともありませんでしたし、

風も心地よかったので、

 

「はい、全然いいですよ」

 

と笑顔で申し上げ、

カバンの中を大公開させていただいたわけです。

 

 

「これは何?」

 

 

「水です」

 

 

「じゃあ、これは何?」

 

 

「水です」

 

 

そんなやりとりが続き、

 

「お兄さん、仕事は?」

 

と聞かれましたので、

 

「会社員です」

 

と返答させていただきました。

 

 

「会社員?どんな仕事?」

 

「広告会社で働いています」

 

 

「広告会社って、もしかして汐留にある会社?」

 

「いいえ、ちがいます」

 

 

 

「でしょうね」

 

 

 

でしょうね、とは。

 

 

おぼろげながら、そんなことを記憶しています。

 

 

秋が待ち遠しいですが、

 

春ですね。

 

 

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