リレーコラムについて

「書いとかないと忘れちゃうから」⑤マスクと匿名の私

木村亜希

マスクをして外出することに慣れました。

そして、メガネが曇るとか息が苦しいとかのよくない点はあるものの
トータルだとプラスに感じていることに気がつきました
(以下、完全に個人の感想です)。

まず顔の下半分が覆われて見えないことが楽。
そんなに見た目に自意識過剰な人間ではないはずなのですが、
笑いっぱなしで消えなくなる「ほうれい線」からも、
鼻の下のそり忘れのうぶ毛からも、あごまわりのゼイ肉からも自由。

知人とすれ違ったとして、私が私だとわからないであろう
(いや、わかるんでしょうけど声をかけないでもらえる?)ことも楽。

先方もマスク姿なので、気づかなくても失礼ではないのも楽
(一方「〇〇さん? あっ人違いでしたごめんなさい」
ということをやらかしたとして、それはマスクのせい!)。

楽しいと思っている時も、また思っていない時も、
思ったことが顔に出てしまうたちなので、
表情が相手に見えないことも楽。

特に真ん中に縫い目があるカラス天狗タイプのマスクの場合は
(不織布タイプのものではダメ)忍者やヒーローもののコスプレっぽい
という理由でもじつは少し気分があがっています。

冒頭、顔の下半分が見えないので楽とは書きましたが、
そういう後ろ向きな理由ではなく、むしろマスクした自分の顔が好き。
マスクが似合うか似合わないかと言えば、似合うほうだと思う
(ベスト・ジーニストみたいなことのマスク版はベスト・マスキスト?)。

そして、さらに言えばマスクで匿名性を獲得して
私が私だとわからない状態のほうが、
落ちているゴミを拾うとか、困ってる人がいたら声をかけるとか、
「いいこと」もしやすいように感じます。

え、何それ。何ででしょうね。私が私であることから自由、な感じ。
この感情に名前はまだない、2020年なのでした。

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1週間、おつきあいいただきありがとうございました。

リレーコラムのバトンは、手ぬぐいパンツ「ぐいパン」を世に送り出した
かんべ笑会のかんちゃんこと神戸海知代さんにお渡しします!

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