TCC会報出張所

2025年度TCC賞授賞式レポート・Part 2 30th会員記念品授与、ホール・オブ・フェイム顕彰 そして「コピー年鑑2025」発刊記念パーティー

30th記念品授与

東京コピーライターズクラブでは、入会から30年経つと
サーティース会員となり、記念のトロフィーが贈られます。
今年度、サーティース会員になったのは、1995年入会の18名の方々です。

飯塚俊彦さん、いとうとしこさん、岡村雅子さん、笠原千昌さん
兼崎知子さん、川村聡さん、高山淳さん、照井晶博さん
中西洋さん、中村有吾さん、橋田麻子さん、平岡勝年さん
広瀬さとしさん、古田彰一さん、松下武史さん、もりやかずこさん
山口慶子さん、山崎隆明さん(50音順)

TCCサーティーズ(在籍30年)代表挨拶:照井 晶博さん

照井です。30年前の「新人」を代表して一言ご挨拶します。
ここに並ぶ13名、今日欠席の5名、合わせて計18名は、
それぞれ違う人生を歩んでいます。30年ぶりに会った人もけっこういます。
ただ、我々、1995年の新人賞同期には共通の記憶があります。
1995年。まだバブルの残り香がある年で、ここも大変素敵な会場なんですが、
当時は赤坂のニューオータニという、もうちょっとお金の匂いが濃い、広めの会場でした。
授賞式の後、みんなで、当時乃木坂にあった仲畑広告に、連れていかれ‥、
自主的に行きまして、縦乗りのカラオケを、強制じゃなく「楽しく」歌わされて……(笑)。
仲畑さんもいらっしゃって、なかなかいつ帰ったらいいのか
分からないような空気があったりなかったり、そんな記憶もあります。

あと、先ほど年鑑の紹介で見ていただきましたが、
1995年というのは事件がすごく多い年だったんですね。
それで、当時のアートディレクターの方が考えて「事件な年鑑」「ニュースな年鑑」ということで、
ここにいるみんながニュースの登場人物というか、
犯人みたいな顔で全員年鑑に載りました。
あとは「その年のグランプリは『愛だろ、愛』だったね」とか、
今でもそういうふうに振り返れる「共通の記憶」があります。
思うに、広告というのは——もちろん、いい広告に限った話かもしれませんが——
「共通の記憶を作ることができる」ものだと思っています。
バラバラに生きる私たちをつなげてくれるものが、
もしかすると、そういう記憶なのかもしれません。
広告がそういうものに少しでも寄与できるとするならば、
大変幸せなことだなと、改めて今思っております。
今日は良い記憶を、良い思い出を作って帰れたらなと思っています。
ということで、この後、皆さんお待ちかねの佐々木宏さんの
「ディナーショー」がありますので(笑)、手短にここで切り上げたいと思います。
今日は、本当にありがとうございました。

2025年度 TCCホール・オブ・フェイム 顕彰式

谷山雅計顕彰委員会 座長からホール・オブ・フェイム選考経過報告

2025年度、東京コピーライターズクラブは、
佐々木宏氏を新たなホール・オブ・フェイムメンバー(HOF)として顕彰することを決定
いたしました。 そのプロセスについて、少し改めてご説明します。
このホール・オブ・フェイムは、まずTCC会員の中で「会員歴が10年以上」の方を対象に
アンケートを取ります。「今年HOFで顕彰されるべき方はいるか」「それは誰がふさわしいか」
というアンケートです。もちろんこれは「選挙」ではありませんので、
そこで一番名前が挙がった人が自動的に選ばれるわけではありません。
しかし、選考委員にとっては「今、こうした方が支持されているんだ」という、
非常に重要な参考資料となっております。
佐々木さんは今年のアンケートでも、やはりナンバーワンの支持を集めておられました。
その上で、全選考委員が議論を重ねていきます。
他の候補者の方々についてもかなり激論を重ねました。
しかし最終的には、やはり佐々木さんに、ということで決定した次第でございます。

私は、佐々木さんとは新人賞の受賞が1年違いで、僕の方が1年後なんです。
ですから、僕がTCCコピー年鑑をずっと読み返していると、
それはもう佐々木さんの仕事の歴史をずっと見ることになるわけです。
つくづく思うのは、「もしこの方が広告の仕事ではなく別の仕事を選ばれていたら、
この40年間のTCCコピー年鑑という書物は、
全く違う中身の読み物になっていただろうな」と感じいってしまう。
それぐらい圧倒的な「量」と「質」を成し遂げられた方なのだなと、
ほんとうに感心いたします。

今回のHOF決定に際して、「受けていただけますか」とお伺いしたとき、
おそらく嬉しそうではあったんですけれど、まず最初に
「それは私を博物館みたいなところに入れて、
過去のものにしようと思っていませんか?」とおっしゃったのが
印象的でした(会場笑)。

おそらくこれからも、佐々木さんは博物館に足を踏み入れる気持ちはゼロで、
誰よりも情熱的に仕事に取り組んでいかれるのだと思います。
その熱量には、ほとほと感心するばかりです。
ホール・オブ・フェイム、本当におめでとうございます。

ここで長年一緒に広告制作に携わり、佐々木さんをよくご存じの、
澤本嘉光さん、福里真一さんからお祝いの言葉。

佐々木宏氏 ホール・オブ・フェイム顕彰 祝辞:澤本 嘉光さん

佐々木さん、ホール・オブ・フェイム、おめでとうございます。
この先、絶対話が長くなるので、僕は手短に。
議題としては、「佐々木さんは顔で得をしているのか、損をしているのか」
というふうな話です(会場笑)。

僕は、佐々木さんのコピーの本質は「デザイン」だと思っています。
なぜデザインかというと、「ニューヨークへ、行こう。」
サントリー「BOSS」、「そうだ 京都、行こう。」など
装飾語知らないんじゃないかというぐらいストレートなんです。
それって佐々木さんってデザインセンスがいいんですよ。
すぐにいらないものを削ぎ落として、すごく綺麗なデザインにしていく。
ベースにある言葉もそうですが、言葉そのものもデザインだと思っていらっしゃる。
言葉をデザインとして捉えて設計されている方というのは、
他にはあまりいないと思っています。
だからこそ、シンプルだし、長く続くことが多い。

で、「顔が」と言ったのは、佐々木さんは顔がちょっと怖いので(笑)、
本当にオシャレだって言っても、なかなかオシャレに見えないと思うんです。
……あ、失礼ですね。 でも実は、さらに言うと佐々木さんが着ていらっしゃる服も、
すごくオシャレなんです。でも、顔が怖いからオシャレに見えない。
なので、見かけと違って実はオシャレなんだと。
本質はオシャレなんだ、ということをちょっと伝えたくて、今日この場に来ています。

皆様も、この後佐々木さんが喋られる時は、「佐々木さんは顔で得をしたのかな、
損をしたのかな」とか「この服はオシャレなのかな」と思いながら聴いていただけると、
ちょっと楽しいかと思います(笑)。

おめでとうございました!

佐々木宏氏 ホール・オブ・フェイム顕彰 祝辞:福里 真一さん

こんばんは、福里です。よろしくお願いします。
この後、佐々木さんの話が長いんですよ、多分。
ですので、私の話の間にトイレに行くという選択肢もあります。
私もパパッと喋っていきたいと思います。

佐々木さん、あらためてTCCホール・オブ・フェイムおめでとうございます。
佐々木さんの代表作といえば、
「ダメ。ゼッタイ。」「ボス のむ。」「ニューヨークへ、行こう。」
ちなみに前回ホール・オブ・フェイムだった一倉宏さんの代表作は、
「音が、進化した。人は、どうですか?」「きれいなおねえさんは、好きですか。」
「愛に雪、恋を白。」「いい空は青い。」
私は佐々木さんの代表作は一倉さんの作品に勝るとも劣らない名コピーばかり
と思っていますが、
会場の皆さんの中には「やや見劣りがする」とお感じになっている方も
いるのかもしれません。
ただですね、それは普段いかに佐々木さんが、
日々の暮らしの中で名コピーを生み出し続けているかを
知らないからなんじゃないかなと。今日はそれを私が紹介しに来ました。

名コピー その1
「福里さあ、どうすればこんなにつまらない企画が思いつけるのか、想像もつかないよ」
普通だったら「つまんない」と言えばいいだけなんですが、
やはりホール・オブ・フェイムのコピーライターですので。
コピーの技と言いますか、いかに持って回ったレトリカルな表現で
相手に強いダメージを与えるかという、その言語化能力が非常に高いということが
このコピーからもうかがえます。
(中略)
名コピー 6
「70過ぎて、こんなに毎日幸せでいいんでしょうか」
佐々木さんが「ほんとに俺、毎日幸せなんだよ」と言うと、
まわりの人たちが苦笑いを浮かべている。
佐々木さんの代わりに不幸になっている人がいるのではないかという
雰囲気があるわけですが(会場笑)、とはいえ、
これだけポジティブに自分を肯定できる。その自己肯定感の中から、
佐々木さんの名コピーが生まれているのかなと思います。

名コピー その7
「人が思っていることをトヨタも思っていたい。」
佐々木さんのコピーというのは、このトヨタ「ドリトル先生」の
新聞広告のコピーに尽きるのかなと思います。
一見変わった人に見えますが、根は「普通の人」なんだろうなと。
覚醒剤については「ダメ。ゼッタイ。」と思うし、
矢沢永吉さんがボスを飲んでいれば「ボス  のむ。」だし、
テロがおきた今こそ「ニューヨークへ、行こう。」。
世の中の普通の人が思っていることを、自分も思っていたい。
広告もそれを表現していたい。それこそが、佐々木さんのコピーが、
一倉さんとも勝るとも劣らない名コピーライターである理由なのかなと
思っております。

さらに佐々木さんのコピーを知りたい方は、
YouTubeチャンネル『広告ウヒョー』をご覧ください。
6人の名コピーライターが佐々木さんのコピーを語っております。
チャンネル登録と「いいね」ボタンをお願いします。

ホール・オブ・フェイム顕彰 受賞の言葉:佐々木 宏さん

澤本さん、福里さん、ご祝辞ありがとうございます。
…ちょっと(祝辞の)二人を選ぶのを失敗しました(会場笑)。

今日、出来立ての年鑑がありまして、後でご紹介があると思いますけど、
私、今日早速「20部」買わせていただきました。
皆さんも1部とかじゃなく、たくさん買ってあげてください。
すごい素敵な年鑑でした。特に、巻末が素敵になっておりまして。
……私のコーナーなんですけど。
児島令子さんと太田恵美さんに寄稿文を書いていただいています。
それもぜひ読んでいただきたい。
私のこのくだらない挨拶よりも素晴らしいことが書いてあります。

私がTCCに入った頃は、まだ電通からTCC会員になるという人が少なくて、
フリーランスのスターがいっぱいいる時代でした。
年鑑でしか見たことない人や、テレビによく出る人。代表格が糸井重里さんでした。
そして仲畑貴志さん、秋山晶さん、小野田隆雄さん、西村佳也さん、魚住勉さん、
眞木準さん。
私が勝手に呼んでいる「七人の侍」です。

この七人が、私にとってのレジェンドでした。
会えるだけでも素敵でしたし、
ずっと「目の上のたんこぶ」というか、
やっぱりこの人たちには抜けないなと思っていました。
我々の世代はだんだん広告の中にマーケティングやストラテジーが入ってきて、
「面白いコピー」より「売れるコピー」にしましょうという人が
だんだん出てきてしまった。
でもその中で、やはり光り輝いていた素敵な人たちのコピーが
ありました。

私が勝手に選んだ、この「七人の侍」のベストコピーを発表します。
まず、糸井重里さん。 「想像力と数百円」(新潮文庫)
これはキャッチフレーズではないと言われていますが、
こんなコピー絶対書けないなと。
仲畑貴志さん。いっぱいありすぎて選べないんですけど、一番好きなのは、
「世の中、バカが多くて 疲れません?」(チョコラBB)
これが放送禁止になって、すかさず 「世の中、おりこうが多くて 疲れません?」
に差し変わった。その凄みですね。
3番目、秋山晶さん。 ジャックダニエルの「ナッシュビルの南。」
わけ分かんないっちゃ分かんないんですけど、ただただかっこよくて。
私のオフィスの中に「ナッシュビル」というスペースがあるぐらい惚れてます。
眞木準さん。残念ながら亡くなられましたが、かっこいい方でした。
一番好きなのは、 「何人まで愛せるか。」(伊勢丹)
眞木さんはすごくモテましたから、自分のために書いたコピーとも言えますけど(笑)、
私の中でもベストコピーの一つです。
そして、西村佳也さん。 「触ってごらん、ウールだよ。」(ウールマーク)
西村さんは、私がコピーライターになりたての28歳の時に、
半年間、個人的に修行をさせていただいた先生でもあります。
小野田隆雄さん。資生堂やサントリーで名コピーをたくさん書かれましたが、
私は資生堂の、 「夏ダカラ、コウナッタ。」 が好きです。
サンフレアという商品だったと思いますが、いいですよね。
最後は、魚住勉さん。 「水がある、氷がある。」(サントリー)
「火がある、人がいる。」と繋がるコピーですけど、
これだけでウイスキーの広告になっているのが素敵だと思いました。

皆さん顔もかっこいいし、名前がいいんですよね。
「佐々木宏」みたいな普通の名前じゃなくて、
糸井重里、仲畑貴志、眞木準、魚住勉……。
もう追い抜けないなとずっと思っていました。
でも、そういう人がいる団体に新人賞で入れたのが、すごく嬉しかったです。

私はプレゼンをする時に、いつもスタッフの顔写真付きで名前を出します。
クライアントに「このメンバーでやります」という。
それだけで価値が決まることがあるんです。
こういう「個」の名前が出る仕事、人の気持ちに刺さる仕事というのは、
他に滅多にないと思うんです。

私は「佐々木宏」という名前がずっと嫌でした。
眞木準とかになりたいなと思ってました。
だけど今日、ホール・オブ・フェイムに「佐々木宏」という字が
並んでいるのを見て、案外この平凡な名前も悪くないなと。

調子に乗って色々しゃべっちゃいましたけど、
本当に今日は素敵な後輩たちに囲まれて、私はまだまだ、
来年もグランプリを狙おうと思ってます。
引退する気はまるでありません。 ただ、もう71ですから、
ふっと死んじゃうかもしれない。その時、皆さんはものすごく悲しむと思います。
「あの時、馬鹿にしてたけど、もっと優しくすればよかった」と思うはずです。
だから、大事にしてください(会場笑)。

まだまだ生きるつもりです。医者から「余命宣告」されましたが、
「あと30年」と言われましたので(会場笑)。 サーティーズ・メンバーとして、
もうちょっと頑張りたいと思います。 ありがとうございました!

コピー年鑑の紹介

年鑑編集委員長の古川雅之さん、アートディレクターの茗荷恭平さん
アートディレクター・デザイナーの石井野絵さんより、
今年の年鑑のご紹介。

電通クリエイティブ関西の古川です。
東京コピーライターズクラブの年鑑を大阪人に頼むというのは、
だいぶやけくそなんだろうなと思いました。
編集委員長の役割は何かと考えたときに、優秀なADを見つけて
その人に丸投げするということで、編集委員長を受ける前に真っ先に、
茗荷恭平、石井野絵という2人の優秀なADに聞いてみて、
やってくれるということだったので、引き受けました。
メンバーはですね、大阪のメンバーで固めました。
年鑑は直川隆久リーダー、TCC展の方は小堀友樹リーダーのもとですね、
広告会社、プロダクション、全員大阪のメンバーでやりました。
僕らがやるとどうなるかというとですね、
受賞作のコピー、掲載作品のコピー、全て関西弁にリライトすると。(会場笑)
これはものすごい莫大な作業量でして、ボディコピーも全部やらないといけないんで、
セリフとかも大変で、みんながかりでやったんですけども。(会場笑)
ちょっと真面目な話はこれぐらいにしてですね。(会場笑)
委員長は編集テーマを決めるというのも仕事らしいということが分かりまして、
過去10年、20年の年鑑をみんなで見ました。
1年1年のことで考えても、何をテーマにしていいか決まらない中で、
2020年ってコロナでだいぶ時代が変わったなということが頭にあり、
ふと想像の本棚に、2020年から2030年まで11冊の年鑑が並んでいるときに、
2025ってど真ん中に来るなぁと。それを大阪のみんなで作っていると面白いと思い
過去–現在–未来みたいなことで2025年というのを捉えられないかなと。
ということで、過去に触れるページ、未来をちょっと考えるページみたいなことも
何かあったらいいよね、知らんけどということでADの方にポンと丸投げしました。

2025年のTCCコピー年鑑を担当したADの茗荷です。
2025年どういうものがいいのかなと思った時に、ニュースなどで米が
言の葉にのってて、そのまま米を2025年のモチーフにしました。
このお米、モチーフとして古くなっていってしまうかと思うんですけど、
2025年のコピーを読むときの足掛かりとなるので非常にいいと思っていました。
ちなみに年末に発表された、今年の1文字が「熊」で、「米」は2位でした。
受賞者の方とか30th会員の皆さんに、米の年鑑とクマのトロフィーを
お渡しするので、これは2025年らしいんじゃないかなと勝手に僕は納得しております。
年鑑を制作するにあたって感謝と謝罪をさせていただきたく
まず謝罪は、新人賞の皆さまに謝罪させてください。
プロフィール写真を撮影して年鑑に載せるのが通例なのですが、
今回撮影しなくて申し訳ございませんでした。
撮影をしてくれなかったアートディレクターとして蔑んでいただければと思います。
あと佐々木宏さんのページに関して、僕には荷が重すぎるなと思い、できませんと言いました。
申し訳ございませんでした。
佐々木さんのページだけアートディレクターの浜辺さんに担当いただき、
とても素敵なページになっております。見るのが楽しかったです。
あと一次審査委員の方に2030年を予想していただいた内容が袋閉じになっていますので、
2030年まで大事にとっておいて、2030年になったら開けていただければと思います。
ここまで素敵な年鑑ができました。協力いただいたスタッフのみなさん、
本当にありがとうございました。ここにいる2年目のADの石井なんですけれども、
僕のふにゃふにゃしたアートディレクションちゃんと形にしてくれました。
僕のデザインセンスの5倍ありますので、何かあったら石井にお仕事をお願いいたします。

年鑑編集委員の電通クリエイティブ関西のみなさんのお力もあって、
会場販売分80冊が完売しました。

授賞式のあとはコピー年鑑発刊記念パーティー
受賞をお祝いする人たち、喜び合う仲間、久しぶりの人、
初めましての人、みんな思い思いに楽しんでいました。