TCC会報出張所

《書籍紹介》日めくり「オペラ」 366日事典/新井巌 著

日めくり「オペラ」 366日事典

 新井 巌

 定価:2,500円(税別)

 出版社:言視舎

 出版日:2016年 12月 20日

この本は「世界の文化史気まぐれ日めくりノート」かもしれないよ
(新井巌さんの『日めくり「オペラ」366日事典』を読んで)

●小野田隆雄

新井さんは東京コピーライターズクラブの幹事会の、メンバーのひとりです。ひょっとすると、いやひょっとしなくても、TCCでピカイチの文化人かもしれないと、ときおり思う方です。というか、残り少なくなった「洗練された東京人」ではないかな。その彼がオペラへの愛情と蘊蓄を傾けて書き上げた「オペラ事典」が、この本です。

ところでオペラとは。広辞苑の助けを借りながらまとめると、次のようになるでしょうか。「歌唱を中心に楽器演奏や舞曲も加えて、歌手が劇中の人物を演ずる舞台劇。16世紀末から17世紀の初頭にイタリアで成立し、諸国に広がった。日本語では歌劇。オペラ・コミックは対話の台詞(せりふ)も交えたフランス語の歌劇、18世紀に始まった。オペレッタは、娯楽的要素が強い軽快な内容の歌劇で、独唱や合唱に台詞も交える。19世紀後半に成立し、後にミュージカルに発展する」

オペラについての著作をご紹介するのに、なぜオペラの初歩的な説明をするかといいますと、この本には、そういうことは書かれていないからです。植物図鑑には「植物とは」とか「バラ科とは」とか、そういう説明は出ていません。絵や写真や解説で読者を植物の世界に誘い入れ、読者を楽しませてくれます。それと同じように、このオペラの本には音楽の解説や学術論的アプローチはありません。どのページをめくっても、オペラに関する、「おや」とか「へえー」とか、「ええっ!」と驚くような話題やエピソードが、さりげなく登場してくるのです。

それからオペラが総合芸術であることも、この本の内容を豊かにしています。ひとつのオペラが上演されるまで、どのような人や事柄が絡んでくるでしょうか。まず作曲家がいます。それから楽曲構成の原案となる小説や詩集の作者がいます。この原案となるのは文字だけではなく、歴史的事件であったり、ひとりの英雄の人生であったりもします。さらに上演となれば、演ずる歌手たちがいます。そして交響楽団。上演された劇場、それが存在する都市。そしてプロデューサーや劇場の持主。新井さんは一年366日を、以上のような人物や出来事や都市で埋めつくしました。ある日はマリア・カラス、ある日はスタンダール、そしてある日は岡本綺堂。まったく無秩序に気まぐれに、さまざまな出来事と人物が登場してきます。いつのまにかオペラの世界をはみ出している楽しさなんですね。

『日めくり「オペラ」366日事典』は、オペラ文化の小道を、ふらりと歩き廻るような楽しさを味わえる本、と言えば私が言いたいおすすめの言葉になるでしょうか。

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著者より
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思えば、私の前著『番町麹町「幻の文人町」を歩く』(言視舎刊)の紹介も、小野田さんに書いていただき、今回も広告ともコピーとも、まったく畑違いの著書『日めくり「オペラ」366日事典』なるものを上梓したので、再度お願いしてしまいました。

ところがご紹介いただいた文章を拝見したら、何とも面映いような過分な私についての人物紹介までしていただき、これじゃあ、これから恥ずかしくて幹事会に出られなくなりそうです(笑)。でも、オペラは面白いです。一度ハマルと、もう抜け出せません(笑)、ぜひ皆さんも、この本を見ていただきハマッてください。小野田さん、いつも無理強いして申し訳ありません。

(新井巌)

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