角瓶 ニューヨークの角瓶 150 N:ニューヨークの52ndST.21番地という住所には
煤けたいかめしいクラブがあって
そのヘンリー・フォンダのスペシャル
ボトルの隣には
50年近く昔のラベルをつけた
サントリー角瓶が置いてある。
M:サントリーのテーマNo.1
SE:いつしか店の中、人のガヤ。
N:6分目ほどにへった中身
どういうわけか、赤いロウで封印されている。
サントリー角瓶
このウイスキーは
もう何十年も誰かを待っているのです。
囁くようなバーテンダーの声がした。
SE:(バーテンダーの英語)It was 
efo
e the wa
……
N:あの、大きな戦争の前のことです。
日本の外交官や特派員が
すべて引上げをはじめた不穏な夜
一人の日本人が、アメリカの友人と
このウイスキーを飲んだのです。
でも、私たちが、預かったのは―
M:サントリーのテーマNo.2
N:―私たちが預かったのは
飲み残したウイスキーではなく
ひとつの、確かな約束なのです。
この戦争が終わったら
もう一度握手をしよう。
もう一度、一緒に飲もう。
紳士と紳士の約束を私たちは預かっているのです。
ニューヨークの52ndST.では
一本の角瓶が もう何十年も
誰かを待っている。
SE:氷と注ぎ
N:サントリー角瓶

NO.8870

広告主 サントリー
業種 酒類・タバコ
媒体 ラジオCM
コピーライター 中山佐知子
掲載年度 1988年
掲載ページ 65