消えなかった、
3月14日。 3月。
そう聞いて、まず思い浮かべる日付が、
去年の3月11日を境に変わりました。

「ホワイトデーどころではない」
誰もがそう思って当たり前。
日本中がそんな空気でした。

でも、その予想は、
清々しく裏切られたのです。

被災地の友からお返しを贈られた人がいました。
たいせつな人の遺品から、
自分への贈り物を見つけた人がいました。
ネット上には、多くの人の
ホワイトデーによせる思いが
綴られていました。

あの日、ホワイトデーは消えてはいなかった。

日本の「もらった気持ちには、お返しする」
そんな、ささやかながら温かい文化は、
冬の桜のように生きていたのです。

あれから一年。
「自分が日本のためにできること」
その答えを出せる人は、
少ないかもしれません。

だけど、35年前、博多の石村萬盛堂で生まれた
ホワイトデーが、
日本中で心をつなぐことになるとは、
想像もできなかったように、
身近なあの人のために「お返し」する。
その気持ちだけで、
何かが始まり、広がるかもしれない。
そう信じています。

NO.85613

広告主 石村萬盛堂
業種 食品・飲料
媒体 新聞
コピーライター 永野弥生
掲載年度 2013年
掲載ページ 286