へーベルハウス
2.5世帯ものがたり~第1話~
姉のメリットと妻の気遣い。 「姉は同居を拒むだろうか?」

八月十三日。帰省する車の中、助手席の妻に何度も不安をつぶ
やいていた。「え?なんか言った?」「ロンドン終わってつまんな~い」
「まだ着かないの?」「ZZZ」無関心をよそおう、妻の気遣いがあり
がたい。僕の名は吉田貴則、三十五歳。会社では三つ年下の
可愛い妻と、六歳の長男、四歳の長女の四人家族の家長である。
僕たち家族は、実家の土地で両親との二世帯同居を前向きに考えて
いた。七十をひかえた両親のこと。僕ら共働き夫婦での育児のこと。
先の見えない景気のこと。震災など有事への不安。いろんなことを
総合的に考え抜いた僕の結論だ。うれしいことに妻はそれ
ほどいやがることなく(ブランドバッグ一つで手を打ち)賛同して
くれた。電話で話した父と母も、おおむね同意してくれた。ただひとつ、
懸念があった。実家には今年三十八になる独身の姉がいる。仕事も
第一線、オシャレも恋愛も自由に謳歌する現役ガールな由紀子姉さん。
彼女は僕たち家族との同居を受け入れてくれるだろうか?もちろん
姉にもメリットはある。僕らのローンで新築に住める。(資金の
援助はお願いしたいが。。)将来的な両親のサポートを協力し
合える。妻に服を自慢できる(=妻のデメリット笑)。暇なとき甥や
姪と遊べる(やっぱりこれでしょ!)。姉さん、親世帯とその単身の子、
そして子世帯が同居する新しい二世帯を「2.5世帯」と言うらしいよ。
いま注目されてるんだ。好きだろ?昔から時代の先取り。キュロット
スカートも町内でいち早くはきこなした、僕らのトレンドリーダー
じゃないか。「ヘーベルハウスの2.5世帯住宅」。気づけばそう口に
していた。「なに急に?広告みたいに。気持ちわるい」無関心を
よそおう、妻の気遣いがありがたい。「ねぇ、まだ着かないの?」

(明日予定の広告紙面に)つづく。

2.5世帯住宅で、暮らしませんか?

NO.85410

広告主 旭化成ホームズ
受賞 最高新人賞
業種 精密機器・産業資材・住宅・不動産
媒体 新聞
コピーライター 吉岡丈晴
掲載年度 2013年
掲載ページ 56