シセイドウ メン
「ヒーロー」 120秒 男:
子供のころ、
いつも、ヒーロー役はあいつで
僕はワルモノだった。
僕がお姫様をさらって、
あいつが助けに来る。
ガキ大将のあいつは、
絶対に役をかわってくれなかった。

でも、僕は知っていた。
あいつがやりたいのは、
ヒーローじゃなくて、
お姫様を助ける役だってことを。
僕だって、たまにはあの子に
「ありがとう」って言われてみたかったのに。

お姫様が遠くの町へ転校してしまった日が、
僕たちのヒーローごっこの、最終回だった。

いつしか、あいつと遊ぶこともなくなって
別々の高校に進んでからは
あいつの悪い噂も聞くようになった。

十数年ぶりにあいつの顔を見たのは
3月の終わり、テレビのニュースだった。
子供たちに食料を配るあいつは
泥だらけの顔で、
あのころと同じように笑っていた。

正月に、あいつと会う約束をした。
今の僕の顔は、あいつの目に
どんな風にうつるのだろう?

メールの最後に、こう書いてやった。
メールの最後に、こう書いてやった。
「残念だったな。
あのときのお姫様は、俺がもらったぞ。
来年、入籍するんだ」

返信には、こう書かれていた。
「やっぱり、お前はワルモノだよ」
ヒーローの笑顔が、目に浮かんだ。

NA:
いい顔してる、男たちへ。
シセイドウ メン。

NO.85171

広告主 資生堂
業種 化粧品・薬品・サイエンス・日用雑貨
媒体 ラジオCM
コピーライター 島聡
掲載年度 2012年
掲載ページ 381