サントリー ピュアモルトウイスキー山崎 作家のキープボトル 180秒 M:オルゴールの音で「蛍の光」
SE:コツ、コツ、コツ、コツ…(男の靴音)ギィ(酒場の扉を開ける音)
N:銀座のとある酒場のボトル棚に、1本のサントリーウイスキー山崎が、なにげない顔をしてキープされている。
キープボトル・ナンバー67番、開高健。
SE:トク、トク、トク…(ウイスキーを注ぐ音に開高さんの言葉がかぶる)
開高:おそらく私にも、なかなか癒すことのできない傷があって、それを、傷口をふさぎたくなって、蒙古まで出て来てるんでしょう…
N:キープボトル・ナンバー67番、開高健。
このウイスキーの持ち主は、もうここにはいないけれど、
小説家を慕う若い友人たちが、今も大切に大切に、このボトルを飲みついでいる。
SE:(風の音、馬の蹄の音、胡弓の音)
N:ベトナムの戦場に沈む、血のように真っ赤な夕陽の色。
アマゾンの奥地で釣り上げた、巨大な魚のうろこの輝き。
開高:…あがったァー…
N:モンゴルの大草原に眠る、チンギス・ハーンの幻の墓。
開高:空が笑いました!モンゴルの空が笑いました!
M:開高さんと友人たちが歌う「蛍の光」
N:このウイスキーを傾けながら、小説家ははいつも話して聞かしてくれた。
開高:釣りをしていると、時々、自分の中に川が入り込んでくる。
そうした日があり、瞬間がある。体の中に、渓流も、岩も、原生林も、自然を通して、すっかり入り切っていると感じられる…
M:明るいワルツのリズムで「蛍の光」
開高:サンキュー!N:このウイスキーは、世界中の酒を飲みつくした小説家と
最後に夢を語り合った、とても幸せなウイスキーなのかもしれない。
SE:コローン(氷の音、シンボリックに響く)
N:サントリーピュアモルトウイスキー山崎
開高:老年よ、大志を抱け!ハッ、ハッ、ハッ…。

NO.7185

広告主 サントリー
受賞 審査委員長賞
業種 食品・飲料
媒体 ラジオCM
コピーライター 加藤英夫
掲載年度 1991年
掲載ページ 35

加藤英夫かとう ひでお

1973年入会