トヨタ自動車 企業
路地の町 120 SE:(京都のおばあはんの挨拶の声)
N:祇園は路地の町だ。
SE:(石畳の足音)
N:花見小路はクルマ2台すれ違うけれど
そこから脇へ入ると、1台がやっと
さらに石畳の路地へ入ると
人間がふたり、手をつなぐゆとりしかない。
SE:(祇園の町)
N:路地から見上げる空は
いつも梯子のように細長く切り取られて
雨でさえ遠慮がちに落ちてくる。
M:♪~
N:これが、祇園という町だ。
本当はクルマがいらないのかもしれない。
でも、遠出する舞妓はんや
よそゆきを着たおばあはんのために
クルマはしずしずとやってくる。
路地の入り口までやってくる。
この町のクルマは
走る、というより歩く感覚。
どんなに走るのが好きなクルマも
そぉっと、そぉっとこの町を抜ける。
路地を大切にするこの町で
クルマがこんなにやさしかったかと
誰もが思う。
SE:(バタンとクルマのドア、静かに走り出す)

NO.5796

広告主 トヨタ自動車
業種 マスコミ・出版
媒体 ラジオCM
コピーライター 中山佐知子
掲載年度 1993年
掲載ページ 279