FM-V　あのひとは、今...

FM-V　あのひとは、今 SE:カチャカチャ…
倍賞さん:1995年、春。
あのひとは始めた。
SE:カチャ、カ…
倍賞さん:たどたどしく、キーボードを叩く
あのひとの右手人差し指。
やはりパソコンはちょっとムリ?
…と思われた瞬間。
「カーンタンじゃねえか」
M:～(楽しき農夫)
倍賞さん:それはあのひとの精一杯の強がりでも、
負け惜しみでもなかった。
「カーンタンじゃねえか。」
触れてみれば、意外とあのひとにも
「カーンタンじゃねえか」なのだった。
SE:蝉時雨や潮騒の音～オフで
倍賞さん:そして、夏。
あのひとはハマった。
ヒマを見つけてはFM-Vの画面をにらみ
「ジョートウじゃねえか」SE:ガガガ…バリバリ…ドカーン!
倍賞さん:時には少年のように、ゲームに熱中するあのひと。
「生意気じゃねえか」
SE:カチカチ(クリック音)
倍賞さん:マウスを操る姿もちょっとづつ、サマになってきた。
M:～♪健さんの鼻歌
「つかんだんじゃねえか!」
SE:風
倍賞さん:そして、1995年　秋。
噂のウインドウズ95が、日本上陸。
SE:カシャカシャ
「かわっちまったよなあ」
倍賞さん:以前にもまして使いやすくなったFM-V。
それをいつのまにか使っている自分にも
「かわっちまったよなあ」
M:～(野ばら)
倍賞さん:年も改まり、1996年、春。
あのひとは、あいかわらず不器用。
でもキーボードを一心に叩く。
その背中が、妙に可愛い。
SE:カシャカシャ…
「上手になったね」と声をかければ
「カンタンだよこんなもん」
「あっ間違えた」とからかえば
「いいんだよこれで」
…
倍賞さん:あのひとが続いている。
SE:カシャ
富士通のパソコン　FM-V
ゆっくりと、あなたのペースで。
「カーンタンじゃねえかー」