服のチカラ。 ユニクロが、仕事をしながら気づいたことでした。服をつくる、売る、着る。再利用する。「服」は
その一生を通して、世界中のどんな人も関わることができるということ。その中で、服は着る人を
美しく、楽しく、快適にする。いやそれにとどまらない。人は服を着ることで強くなったり、元気に
なったりすることができる。着る人だけじゃない。服は、つくる人、販売する人の、もしかして人生を
うごかすほどのチカラがあるんじゃないのだろうか。服には人を幸せにするチカラがあると信じ、
世界を少しでも良い方向に変えていくこと。それが、ユニクロのこれからの大事な目標になりま
した。貧困、紛争、災害、心身の障がいといったテーマに向き合い、みなさまのご理解とご協力
をいただきながら、世界ですでに取組みを始めているものもあります。今日はその中の4つに
ついてお話をさせていただきます。店頭にある小冊子「服のチカラ」を併せてお読みいただけ
れば幸いです。WEBでもご覧いただけます。www.uniqlo.com
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ユニクロの全商品リサイクル活動は、今年で5年目になります。ユニクロがお客さまから
回収した服を、初めて寄贈した先は2007年のネパールでした。2年後、再びこの地を訪れた
私たちの仲間からこんな話を聞きました。「難民キャンプから第三国での定住を希望する
人々が、出発日に立ち寄る施設に行った時のことです。ユニクロの服を着た女性に出会いま
した。凛とした眼差しが印象的でした。服は2年前に日本からの支援でもらったのでそうです。
故郷ブータンから子どもを連れて逃れてきて、受け入れてくれる新しい国へこれから旅立つと
ころ、たくさんの辛いことがあり、でもこうして少しの希望は残ったと語ってくれました。この施設
に来た人は、旅立のときだから、みなおしゃれをする。そんな特別な今日、彼女はユニクロを着
ている。ユニクロの服だとも日本の服だとも知らないけれど、きっと気に入ってくれていることは
わかりました。日本で着られなくなって、もしかしたら捨てられていたかもしれない服を、大切に
大切にしまっておいて大事な日に着ようとしている人たちがいる。服がゆきわたることで、人は
元気になれるのだと実感した日でした」と。「服」は「服」のままで役立てる。ユニクロのリサイ
クル活動は、これまで多くの方のご協力を頂戴してきました。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とのグローバルパートナーシップもできました。目標の、世界中の難民、避難民の
方全員にユニクロの衣料をとどけることです。ユニクロの年間生産枚数は約6億着にのぼり
ます。しかし2010年の回収は約400万枚。これまでに回収した総数は約900万枚。世界中の
難民、避難民は約3600万人。まだまだ足りません。ユニクロの服を、どうぞお店にお持ちく
ださい。その服はあなたから旅立って、世界のためにチカラを発揮してくれることに
なっています。これからも一層のご協力をお願いいたします。今月3月より韓国のユニクロでも
全商品リサイクル活動を開始。これを皮切りに今後世界中で展開してまいります。
バングラデシュでソーシャルビジネスを始めました。この国の識字率は約50%。低温地に
住む国民を毎年のように洪水やサイクロンなどの自然災害が襲う。農村部を中心に多くの
衛生問題を抱える。子どもたちの教育機会はきわめて少なく、貧困が貧困を生むバングラデ
シュ。貧困からの脱却に必要なもの、それはモノを援助するだけではなく、彼らが自立して生き
ていける「仕事」をつくり出すことでした。たとえば「服」という仕事はどうだろう、とユニクロは
考えました。素材の調達、生産、物流、販売まで、バングラデシュ国内で完結する仕組みは、
「服」ならできるかもしれない。なによりもユニクロには独自の技がある。Tシャツ、1ドル以下。
この現地の人が買える価格と品質との両立をはかることが、ユニクロならできる。その服と一緒
に安全、衛生、医療の重要性を伝えることもできる。女性の社会進出のチカラにだってなれる
にちがいない。ユニクロは動き出しました。2010年、バングラデシュ・グラミン銀行とパートナーシップを組み、この国の人々が自立して生きていくための新しいビジネスをスタートさせました。
中でも、象徴的だったのが「グラミンレディ」とユニクロとの出会い。貧しい農村部出身彼
女たちは、グラミン銀行から無担保で融資を受けて仕事をしています。彼女たちの仕事に、新た
にユニクロの服の販売が加わったのでした。農村の女性たちに下着をつける必要性を話すこと
も彼女たちの役割。これまでは考えられなかった女性の生き方でした。今年の目標は10万枚。
3年後までに100万枚。「得られた収入で、子どもを学校に行かせたい」それが彼女たちの
夢です。衣食住。「服」は、その国の暮らしに深く関わる仕事です。服はその国に希望をつくる
チカラになれるかもしれない。今この事業に参加するために自ら志願し、集まってきている仲
間がたくさんいます。服にできることを、これからもみんなで探していくつもりです。
「1店舗1名以上」を目標に、障がい者雇用に取り組んでいます。2001年より取り組ん
できた障がい者雇用は、現在全国で764名。9割以上の店舗で雇用が進み、すでに2名以
上が働いているところもあります。正直に言います。当初は、障がい者っと一緒に働くことで
効率が落ちるのではないか、できる仕事はないんじゃないか、といった先入観があったように
も思います。私たちがつくったマニュアルも、今からみればずいぶん形式的なものでした。各
店舗で様々な葛藤もありました。できること、できないこと、様々なチカラの人間が同じ働く
仲間になるとは、どういうことだろう。その答えを探すこの10年間。私たちは、「服」に関わる
場所には、人を思いやるココロが欠かせないことを改めて確認できました。現在、すそ直しの
仕事を受け持つ者も。レジでお客さまと直接お会いする者もいます。障がいのある仲間が
できたことをきっかけに、みんなで手話を学びあった店舗もありました。まだまだこれからです。
国籍、職業、学歴など、ユニクロの服はだれをも区別しない、あらゆる人のための服です。当然、
いかなる障がいのある人にもユニクロの服は良い服でなければなりません。みんなにとって
「本当に良い服」とはなんだろう。障がいのある人が仲間にいることが当たり前の会社だけが、きっとその答えをみつけられるのだろうと信じています。
工場で働く人を守る。そのために労働環境のモニタリングを徹底しています。ユニクロの
年間生産枚数約6億着。その8割を中国で生産しています。しかしその6億着は、どこで
生産されようと「ユニクロ」として自信を持って世界中に送り出さねばならない。そのために
品質を守る、働く人を守る、周囲の環境を守ることも、ユニクロの重要な仕事です。たとえば
ユニクロのパートナー工場のモニタリング。児童労働・強制労働の禁止、組合結成の自由。
健康と安全性、労働時間など働く人の人権や安全が守られているか、工場の周辺環境へ
悪影響を与えていないかが監査されます。対象は縫製工場以外にも、寮や食堂などに及
びます。最低賃金の保障や残業代未払いといった賃金面にも厳格な基準を設けています。
もちろん、過剰な残業時間や連続勤務の背景には、ユニクロの発注時期の遅れや急な
計画変更のしわ寄せが生産現場に及んだと考えられる場合もあり、私たちも自らを厳しく
チェックしなければなりません。こうした過程で気づいたことがあります。単に問題を発見し
てペナルティを与えることでは何も解決しないということ、ユニクロの服に関わる工場は、世
界最高水準を追求し、人材育成をすすめ、正しいビジネスを行う仲間であり、互いの間に
必要なのは、「取引」ではなく「取組み」だということでした。「服」には、労働の環境を変え、
ものづくりの喜びを伝えるチカラがあるのかもしれない。
本当に良い服は、世界のチカラになる。ユニクロの服よ、もっと働こう。もっと世界中で
働こう。服には、私たちの想像を超える「服のチカラ」がある。
ユニクロが、仕事をしながら
気づいたことでした。
NO.32602
広告主 | ファーストリテイリング |
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業種 | デパート・スーパー・専門店(流通)・繊維・ファッション |
媒体 | ポスター |
コピーライター | 太田恵美 |
掲載年度 | 2011年 |
掲載ページ | 155 |