恋と絵画には、定年がない。 会社勤め最後の日。机の中を一切合切整理したあと、型どおりに書類を提出し、
型どおりに花束をもらい、型どおりの挨拶をして、夕焼けの街に出掛けた。いつものカウンターバーは
開店したばかりで、私がその日の最初の客だった。マスターは、ビールを2杯入れると、
これは私からの奢りですと言って乾杯した。短いような、でも長かったようなこれまでの時間を
一気に飲み干して、ジョッキを置く。次の一杯は、これからの、きっと長いかもしれない日々に
乾杯することに決めた。マティーニを注文して、私は持ってきた花束をマスターにプレゼントした。
会社帰りの夕陽は今日が最後だが、太陽はこれから何度も街を赤く染めることだろう。
ホルベイン絵具
NO.28423
広告主 | ホルベイン工業 |
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業種 | その他(どこに属するか不明なもの) |
媒体 | ポスター |
コピーライター | 松岡平 |
掲載年度 | 2010年 |
掲載ページ | 157 |