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炊き込みご飯 120
食と炎「炊き込みご飯」 120秒 女:炊き込みご飯をつくる
したごしらえが、
あまりにも大変だったので、
私は泣き出してしまった。
それは、お母さんと昔の自分のことを
思い出して、
出てきた涙だった。
M:♪~
あのころ自分は、この世界には居場所がないと思い込んで、
自分が嫌いで、
自分を生んだ人は、もっと嫌いだった。
しょちゅう家を飛び出しては、何日も帰らないことも多かった。
そしてあるとき、私はキレた。
ふらっと家に帰った私を
土鍋に入った炊き込みご飯が
待ち受けていたからだ。子供のころ、何度もお代わりしたごはん。
お母さんが大好きだったころ、
大好きだったごはん。
その暖かい雰囲気と
今の自分のギャップにむかむかして、
私はそれを床にぜんぶぶちまけた。
ぶたれるかな、と思った。
でもお母さんはそれを黙って片付けた。
ひとつぶひとつぶ、丁寧に片付けた。
そして今、
カレシのために、
はじめて台所にたっている。
そして涙がとまらなくなって困っている。
私は知らなかった。
たけのこのあくをとったり、
こんぶをぬれぶきんでふいたり、
ふきこぼれないように
火加減をみたり、
そういった手間のひとつひとつに、
どんなに愛情がいるかってことを。
私は知らなかった。
この世界には、最初から、
ちゃんと居場所があったんだって
ことを。
そして思った。
今度は、カレシのためじゃなくて、
お母さんのために、
炊き込みご飯をつくろうって。
NA:あなたは
誰に料理をつくりたいんですか。
火の力で、
大切な料理をお手伝い。
東京ガス。

NO.25318

広告主 東京ガス
業種 精密機器・産業資材・住宅・不動産
媒体 ラジオCM
コピーライター 細川美和子
掲載年度 2008年
掲載ページ 192