ライフカード　カードの切り方が人生だ～フレッシュマン来たる同WEB続編　30　...

ライフカード　カードの切り方が人生だ～フレッシュマン来たる同WEB続編　30　 ライフカード「フレッシュマン来たる」web編

「説教」のカードを引くオダギリ。
オダギリ、カードをしまいながらゆっくり立ち上がる
膝のホコリを手で払って（気持ちを落ち着けて）。
新人を手招きして工場脇に呼ぶ。

オダギリ：
カワイ君、ちょっと

工場脇。

オダギリ：
（できるだけ冷静を装い）キミさ。
キミもう少し考えた方がいいと思うんだよ

新人：
（オダギリをじっとみている）……

オダギリ：
ね？　そもそも何で僕が土下座してるのか？
なんでそこまでしなくちゃいけなくなったのか…
責任とって土下座しているオレの気持ち…
聞いてる？

新人：
聞いてます聞いてます

オダギリ：
ここ最近のことを思い返してみてもね
なんで後輩が助手席でのんびり音楽聞いて
先輩がシコシコ運転するのか？
なんで当たり前のように食事の会計はオレなのか？
いや払うよ、そりゃ先輩だから払うけども、
けども…あるじゃない？
なんかあるじゃない、そこは

新人：
（他人事のように）なるほど　なるほど

オダギリ：
先輩だからね、後輩のフォローはするよ。
するけどフォローされる側がわぁ…
言ってることわかるよね

新人：
わかります　わかります

オダギリ：
…

新人：
そういう後輩持つとつらいですよね

オダギリ：
…？

新人：
ほんと扱いづらいですよ、今時の若者は。
ある意味仕方ないですよ。
オダギリさんのせいじゃないから、
だから…

新人：
ただね、強いて言えば
やっぱりどっかで甘い顔
見せてたんじゃないですか？後輩に。
つけこみますからね、後輩っていうのは。
見てますから、そういうとこ

オダギリ：
いや、つけこむって言われても
こっちだっていきなりさー…

新人：
それ！それが駄目なんですよ。
もう後手に回ってるでしょ。
回ったでしょ　今も

オダギリ：
あ…うん

新人：
あ…うんじゃなくて。
もうわかってるわけだから最初から。
こいつは生意気だって
わかってるわけなんだから。
そこでカン！　といかないと。
あなたね、先輩なんだから

オダギリ：
そうだよね

新人：
そうですよ　オダギリさんがしっかりしないと

オダギリ：
うん…

新人：
…わかります？

オダギリ：
うん…わかった

「理解」のカードを引くオダギリ。
顔を上げたオダギリは、無理なく優しく。

オダギリ：
どう？
携帯カメラで構えてる新人、話しかけられてやや驚く。

オダギリ：
撮れてる？　いい感じ？

新人：
え？あ、まぁ

オダギリ：
見してよ見してよ
と、新人の携帯を覗き込む。

オダギリ：
あ、いーじゃん　うまいじゃーん。
やっぱびびった？
いきなり土下座はびびった？

新人：
いやびびったっつーか

オダギリ：
びびるよねー初めてでしょ見たの。
そりゃびびるよ。
びびるっつーか、写真撮りたくなるよ。
（写真いくつか見て）あ、これいいな。
これ来年の年賀状にしよっかな

新人：
そんなにいいっすか

オダギリ：
いいじゃんこれ。
オレこんなにいい感じに撮れないよ
ん？撮れるかな…ちょっと、ちょっとやって

と、携帯カメラを構えアングルを探り始めるオダギリ。
戸惑う新人。

オダギリ：
オレだけ撮ってもらうのもなんだし
オダギリ、カメラマンのように促す。

オダギリ：
膝つけて。
背筋はピット伸ばした方がいいかな

言われるまま、なんとなく土下座のポーズをし始める新人。

オダギリ：
もっとケツをプリッと…お、いいね…
もっと下から狙った方がいいか？

新人：
……

オダギリ：
もっと手を広げておでこくっつけて…
あ、今いい今いい！　そのまま！
カメラ構えるオダギリ。

オダギリ：
はい撮るよ
そこに工場長。

オダギリ：
（小声で）あ、こいつもこうして
反省してますんで
（大声で）素晴らしいね！
いくよ、はいポーズ！

「罵倒」のカードを引くオダギリ。
カードをしまい、勢いよく立ち上がるオダギリ。
つかつかと新人に近寄り…

オダギリ：
ちょっとこい
その胸ぐらを掴んで、工場脇に引っ張っていく。
胸ぐら掴んだまますごむオダギリ。

オダギリ：
なめんなよ

新人：
（呆然）<

オダギリ：
そんなに土下座が珍しかったか？あ？
誰のせいでこんな羽目になってんだよ、
オレは？　おい！　おい！

新人：
……（目を伏せる）

オダギリ：
いい気になんなよ

新人：
……（伏せていた目をオダギリと合わせる）

オダギリ：
なんだよ…んだよ文句あんのかよ言ってみろよ！

見つめる新人。
その目に大粒の涙。

新人：
（号泣）うわぁぁぁぁぁ！

オダギリ：
？

新人、その場に跪いて、泣く。
やや、戸惑うオダギリ、しゃがんで顔覗き込んで、
周囲を気にしつつ。

オダギリ：
ちっ…なんなんだよ、おまえ。
おい、こら泣き止め。泣き止めって。
あのなー泣いて許されるとでも思うのか？

新人：
（泣きながら）違う…違うんだよー！

オダギリ：
？

新人：
（嗚咽）こんなに…こんなに真剣に
怒ってもらったの、初めてだったから…

オダギリ：
…

新人：
だから…だから嬉しかったんだよー
うわぁぁぁぁぁ（また号泣）

オダギリ：
（なだめつつ）わかった。わかったから
新人、オダギリにすがって泣く。

オダギリ：
そうか…嬉しかったか

つかの間、見つめ合うふたり。

新人：
（泣きながら）嘘だよーうわぁぁぁぁぁ…

オダギリ、新人を突き飛ばし、再び怒鳴る。

オダギリ：
あったまきた！ふざけんなお前

新人：
（床に突っ伏して）あああ！
また怒ってくれてるよー
うわぁぁぁぁぁありがとー（と、号泣）

オダギリ：
（顔近づけて）なめてるよな。
お前絶対オレなめてるよな

新人：
（顔合わせて）ぐすん…ちょっとだけ

オダギリ：
！