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「かぞくの群像」#5「不在」篇 デジタルサイネージ200秒 S:
かぞくの群像#5
これは“私の母の不在”についての物語である。
私の母親は日本人で、名前をユキという。
母はドイツに留学中 父と出会った。
そして私が生まれた。
母は子どもの私から見ても美しかった。
そして時々寂しげな目をしていた。
その母が 私が10歳のときに忽然と姿を消した。
私は心のどこかで「母は日本に帰ってしまったのだ」と思った。
その後 仕事や旅行で ドイツを離れたことは何度かある。
しかし 日本に行ったことはなかった。
そこで幸せそうにしている母の姿を目撃してしまうのが怖かった。
“突然消えてしまった母”の方が自分としては受け入れることができたのだ。
5年前、仕事で日本に行くことになった...

その時ふと私は母を探してみようと思った。
「カマクラのスズキユキ」それだけが母の情報だった。
実際にそこに行けばなにかが得られるのではないかと思っていたが甘かった。
私は半ばホッとしていた。
せめて美しい海を見てから帰国することにしよう、
そしてこのことにはケリをつけようと自分に言い聞かせた。
気がつくと私は腰まで海に浸かっていた。
日本の海は私を優しく包み込んでいた。
まるで母に抱かれているように、
母は美しい姿のままここに存在していた。
この国では「万物に魂が宿る」と信じられている。
それがわかる気がした。
これが5年前に起きた私と母の再会の話である。
それ以来私はこの国で生きることに決めた。
“母の不在”は今でも私の中に大きく“存在”しているのだ。

S:
不在という存在について。
DaiwaHouse

NO.2024082

広告主 ダイワハウス工業
受賞 ファイナリスト
業種 精密機器・産業資材・住宅・不動産
媒体 その他
コピーライター 多田琢
掲載年度 2024年
掲載ページ 127