寺山修司「色と音」 ソニーカセットテープ 120 女性N:
「ソニーテープ千一夜」

寺山修司N:
みなさんこんばんは、寺山修司です。
僕たちはいろんな色をみることができるわけで
すが、目の見えない子供たちは、色をどんな風
に感じているのか…昨日、文京盲学校の生徒
さんたちと会って話したわけです。すると
目の見えない子供たちは、色を「音」で表すんだと、
答えてくれました。そこで白っていうのは
どんな「音」かって聞くと、こんな「音」だっていうふうに
答えてくれました。

SE:
汽笛

寺山修司N:
金色はって聞くと、金色はこんな「音」でした。

SE:
鍋を叩く音

寺山修司N:
鍋をたたく音なんだそうですね。
非常に金色に似た色ですけど……
お月さんは、どんな色してるーって聞くと、
ドロドロの油の中に石を投げ込む「音」だって
答えてくれました。
で、僕はますます興味をもって、
鏡はどんな色をしてるかなって聞いてみました。
すると、目の見えない子供たちは
絹糸の切れる音だって答えてくれました。

SE:
絹糸の切れる音

寺山修司N:
もし人生がバラ色だとしたら、
それは目の見えない子供たちにとって
どんな「音」で表すのかー
ー僕は、まあ考えこんでしまったわけです。

子供たちN:
僕たちは「いい音」が大好きです。

M:
ソニーカセットテープ

NO.10095

広告主 ソニー
受賞 部門賞
業種 化粧品・薬品・サイエンス・日用雑貨
媒体 ラジオCM
コピーライター 白土謙二 松本邦彦 寺山修司
掲載年度 1985年
掲載ページ 213