2つのビンの間にあったもの。それは木炭だった。 ミュージアムのような蒸留所の片すみの机に、盆に乗せた小さなボトルがあった。
どちらにも透明な原酒が入っていた。よく見ると白いラベルには、Before。黒い
ラベルには、Afterと記されていた。テースティングをすすめられ、ひと口ずつ
味わってみた。黒いラベルの原酒はすべて味覚にやさしい酒になっていた。「原酒は
一滴一滴、チャコールを通すのです。木炭の何かが酒をメローにしてくれる。昔、
テネシーではほかの蒸留所もこの方法をとっていましたが、今ではみんなやめて
しまいました。」高地の堅い楓の木が焼かれ、炭になり、ウイスキーをやさしくする。
「この味をテネシーの月明かりと言います。」空想の中で僕は月の下でグラスを持った。

THE GREAT TENNESSEE SIPPING WHISKEY
何ひとつ変わらないアメリカ。ジャック・ダニエル。

NO.7697

広告主 サントリー
業種 酒類・タバコ
媒体 新聞
コピーライター 秋山晶
掲載年度 1990年
掲載ページ 33