エフエム東京 企業
「ラジオの夜」 ラジオCM150秒 M:
♪〜(夜中に流れる寂しい曲)

NA:
ひとり暮らしをはじめた最初の夜、
ラジオを聴きながら眠った。

知り合いが誰もいない東京で
ラジオさえ知らない番組を流していた。
タイムスケジュールもわからず、
チャンネルはずっと同じままだった。

その年の春が終わろうとする頃      
私はラジオでボイジャーのニュースを知った。
惑星探査機ボイジャーはそのとき太陽系の果てにいて
孤独な宇宙へ向かっていた。   

ラジオは私にとって「ひとりの夜」と同じ意味だった。

家族から離れて、寒いねという相手もいない夜。
ラジオの夜、ラジオだけしかない夜は
寂しさが身体にしみ通ってできた隙間を
ラジオから流れる音楽がそっと埋めた。

結婚して、年を取っても
あの寂しさは私のなかに凍りついて溶けることはない。
けれどもそれは
ひとりの人間としてこの地上に立つために
必要な寂しさだといまは思う。

今夜もボイジャーはひとり宇宙を飛び続けている。
私のそばには、まだラジオがある。

ラジオの夜 東京エフエム

NO.2024093

広告主 エフエム東京
受賞 ファイナリスト
業種 マスコミ・出版
媒体 ラジオCM
コピーライター 中山佐知子
掲載年度 2024年
掲載ページ 134