年上に向かってお前
僕は毎朝、家の前の池のまわりを散歩する。
早朝の池は、同じく散歩中の老人以外は誰もいない。
静かすぎるが、寂しくない。
池に行くと、いつもの場所にいつもの動物がいて、それがうれしいからだ。
亀が石の上で甲羅を干している。歩くと鴨が泳いで寄ってくる。
そして池の真ん中の石の上には、大きな白鷺が一匹いる。
白鷺が太陽に向けて羽根を広げて乾かしてる姿は、とても美しい。
ある日、歩いていると「ルロロロロロー」という声が池の遠くから聞こえてきた。
振り向くと池の真ん中に白鷺がいる。
こういうときは、こちらもささやかな勇敢さで返さなければ。
僕は「ルロロロロロー」と鳴き声を真似て返した。
この挨拶はそのあとも何度かあった。「ルロロロロロー」遠くから声が聞こえると、僕も「ルロロロロロー」と返した。
しばらくたったある日のこと。いつものように池を歩いていると池の方をじっと見ている老人とすれ違った。
僕は黙って通り過ぎた。
その時、池に向かって老人が叫んだ「ルロロロロロー」
お前やったんかい!
どんな場所でも珍事は起きる。
1週間、ありがとうございました。
次のバトンは、コピーライターの水野百合江さん。引越し初日にレタスにハムカツはさんで食べる808FACTORYのCMがおいしそうでした。
2025年夏に大阪コピーライターズクラブの審査に参加していただいて、その冬にバトンを渡せました。
伏線回収、、、という名のむちゃぶり、すみません。ありがとうございます。
何卒よろしくおねがいします。