デ・ニーロの一言
ある演出家から聞いた話だ。
若き日の映画監督ロバート・ロドリゲスが俳優のロバート・デ・ニーロに、自分があためている企画を話せる機会があった。
なんとかこの名優に出演して欲しい。ロバート・ロドリゲスは、カフェで小一時間ほど、映画のテーマや、プロット、この映画にかける熱い思いを一生懸命話した。
無言で聞くデニーロ。話が終わった。
デ・ニーロの顔を見つめるロバート・ロドリゲス。いい返事がもらえるか、、、と、デ・ニーロが口を開いた。
「映画の企画は一言で言えないとダメだよ」
真偽のほどはわからないが、二人とも超渋いエピソードだ。
つまり、良い映画は一言で言える、ゆえに、良い映画ということである。
本当か。検証してみたい。
【ネタバレ注意】:映画の内容への言及が含まれます。
『ジョーズ』 「サメ退治。」
たしかに。見事なまでに一言でいえる。
『エイリアン』 「バケモン。」
これもだ。
『ダイハード』 「タンクトップ。」
短かすぎるのもなんなので、もう少し内容に踏み込んでみる。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 「ロックは未来から来た音楽説。」
学祭に出れなかったマーティーが図らずもロックのルーツになるというのが話の骨子ではないか。
『ミッドサマー』 「中身のない彼氏はくり抜かれて花畑の肥料にされる。」
主演女優フローレンス・ピューのフローレンスには花の意味もある。名前に花が入ってる女性には注意がいるのかもしれない。
『トップガンマーヴェリック』 「結局、下に任せへんねや。」
さんざん、トレーニングした若手たち。上官がいう。「よく頑張った…じゃあ、俺が行ってくる。」そこかしこで見る光景だ。
「出勤は、バイク。」という一言でも、いけたかもしれない。
『タイタニック』 「お巡りさんの笛はいつ、どう使うか。」
人類最大のミステリーはタイタニック号の沈没ではなくお巡りさんの笛の使い途である。
『私の頭の中の消しゴム』 「すみません、観てません。」
検証の結果、どう一言にまとめるかには、個人差が出るかもしれない、ということが、なんとなく予想出来た。
てなわけで、近年キレキレッの後輩原田真由からバトンをもらいました博報堂関西支社田中幹です。
今週、宜しくお願いします。