ロケットも、
文房具から生まれた。 文房具と一緒にいる時、ひとはとてもいい顔をしている。
つくづく、そう思うことがあります。書く、ひたすら書く。
机に向かうその清潔なまなざし。手を休める。思いをめぐらす。
遠くを見つめるそのやわらかなまなざし。考えている。
苦しんでいる。迷っている。もがいている。
でも、まちがいなく前へ進もうとしている。
思えば、文房具は、人間のそんな素顔を、
なんと長い時間見つめてきたことでしょうか。
幸福な時間。自分たちの仕事を思う時、
私たちトンボは決まってこの言葉に行きあたります。
なぜなら、私たちのそばには、いつも頭と心を
いっしょうけんめいに使う人がいて、その人の手から、
必ずひとつ、この世になかった新しい何かが生み出されている。
そう思うたび、誇らしさに胸がいっぱいになります。
傷つきやすく、たくましい。弱くて、かしこくて、
とほうもなくあたたかい。そんな人間が、
いちばん人間らしくあろうとする時に必要なもの。
トンボは、これから先も、ずっと人間のそばで
暮らしたいと願っています。

トンボが動いている。
人が、何かを生み出している。

NO.20890

広告主 トンボ鉛筆
受賞 TCC賞
業種 化粧品・薬品・サイエンス・日用雑貨
媒体 新聞
コピーライター 岩崎俊一 岡本欣也
掲載年度 2006年
掲載ページ 70