新聞ノート
2013年。12年前のちょうど今頃。
新入社員の僕は、2CRプランニング局に配属された。
「1年目はひとまず、これだけしておけばいいから。」
トレーナーである福井秀明さんにそう言われた僕は、
毎朝オフィスで新聞を読んでいた。
読売新聞、朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞、産経新聞
オフィスに届いた新聞を片っ端から読んでいく。
でも、本来読むべき記事は、ほとんど読まない。
目当ては、記事と記事の間にある広告だ。
30段広告、15段広告、5段広告、煙突、突き出し、小枠。
今日はどれにしよう。
すべての広告の中から気になったものを一つ選んだら、
縮小コピーしてノートに貼り、
その右側に1日かけて、コピーの代案を書きまくるのだ。
そして17時半。トレーナーのデスクの上に置いておくと、
次の日の朝には、自分のデスクの上に赤字入りのノートが置かれている。
赤字といっても、ほとんど何も書かれていない。
いくつかの△と、調子がいい時は1個か2個の○がつけられている。
△は、惜しいコピー。○は、いいコピー。
(ちなみにすごくいいコピーは◎、だが滅多にもらえない。)
このコピー訓練のことを、僕たちは「新聞ノート」と呼んでいる。
僕たちというのは、保持壮太郎さん、小野麻利江さん、阿部広太郎さん、そして僕。
福井秀明さんが育ててきた4人のトレーニー達のことである。
僕は、大活躍している先輩たちのことを、
勝手に尊敬し、勝手に兄弟子、姉弟子と呼んでいる。
新聞ノートをしていると、不思議なことが起こる。
徐々にコピーが下手になっていくのだ。
自分だけだと思っていたのだが、
昨年、保持さんと飲みに行った時に同じ話をしていたので、
たぶん、みんなそうなんだと思う。
新聞ノートに慣れてきた、ある日の朝。
ノートを開けると印は一つもついておらず、
ただ、「ない。」とだけ書かれていた。
僕は焦った。
なぜだ。なぜ毎日書いているのに。
やっと書けてきていると思っていたのに。
今なら、その理由が少しだけわかる。
いろんな書き方を覚えて、いろんな視点を知って、
見失ってしまったのだ。
どの言葉が、商品の価値を伝えられるのかを。
どの視点が、気持ちを動かすことができるのかを。
学べば、学ぶほど、難しくなっていく。
やっぱりコピーっておもしろい。
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山田英理人さんから、
バトンを受け取りました辻中です。
実は、英理人さんは初任配属の部が同じで、
いちばん最初に声をかけてくれた優しい先輩でもあります。
会社にかかってきた電話は一年目が取るんだよ。
ということを教えてくれ、
当時2年目の英理人さんの机の上にあった電話を
辻中の机に設置してくれました。
配属初日、知ってる人もいなくてとても心細かったので
すごく嬉しかったのを覚えています。
が、こうして今思い返してみれば
少しでも早く電話担当を辻中に渡したかったのかなと思えてきました。
仕事の影響で、なかなかコラムを書く時間が作れず、
木曜日からのスタートとなってしまいましたが、
よろしくお願い致します。
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