リレーコラムについて

恥コラム:離婚

杉谷有二

ボクは結婚していたことがあります。
もう7年も昔のことですが、別れを決めたときは
「自分の人生にこんなタイヘンなことが起きていいのか?」と
どこか非現実的な思いで、人生がなんだかバーチャルに感じられました。

そんな折、会社の同期の夫婦を囲んで集ったことがありました。
そこでボクは友人に自分のことを報告したのですが、
打ち明けた瞬間、奥さん側の友人のひとりが
何か考え込むように顔を伏せたような気がしました。

その帰り、偶然にもその女性をボクのクルマで送ることになりました。
おしゃべりするうちに、実はその女性もいま、
夫と別れるかどうかをまさに悩んでいるところだということが分かりました。
自分と結婚する寸前まで夫にもう一人付き合っている女性がいて、
しかも最近、その女性が身ごもっていることが発覚したというのです。

うわっ、それはタイヘンだ!
オレなんかよりずっと深刻だぞ……と聞いていたら、
本当に驚いたのは、その後の話でした。

彼女は別居して実家に戻っていました。
ご両親は冷静な方で、とにかく娘の判断を優先するかまえでしたが、
基本的にはこの結婚を無理して続けるよりも、
次の幸せを見つけた方がいいという意見だったようです。
けれども本人は、夫への思いが残っていることももちろんですが、
自分の結婚が失敗に終わることへの悔しさ、意地のようなものもあり、
なかなか結論が出せずにいました。

するとある日、苦しむ娘を見かねた母親が
何気ない口調でこんな話をしたのです。

「もしかしたらあなたは、離婚することが
とんでもない大ごとだと思ってためらってない?
でもね、それくらいの出来事は人生にいくらでも起きるのよ。
本当のこと言うとね、お父さんも一度離婚しているの。
私とは二度目の結婚なの。
あなたのお兄さんは、実は前の奥さんとの子どもなのよ」

えーーーーーーーーっ!!!!
彼女の頭は「!」と「?」でパニックになったそうです。

お父さんは他の女性と結婚してたことがあるの!?
お兄さんは血がつながってないの!?
お母さんは私の気持ちを軽くしたいと思ったのかもしれないけど、
ただでさえ離婚の悩みでいっぱいいっぱいのこんなときで言わなくても!
いや、こんなタイミングだから言ったのか……ええっ?ええっ?

その話を聞きながらボクは思いました。
ああ、世の中には本当に色んな事情を抱えて生きてる人たちがいるんだなあ。
オレの人生なんて甘っちょろいもんだなあ。
これからは簡単に「タイヘンだ」なんて言葉を使ってはいけないなあ。
と。

教訓。
「よりタイヘンなことを知ると、
人は自分のタイヘンなことを忘れる。」

恥ずかしい男の恥ずかしさ全開のコラム!
読者がついてきてるか不安になってきたけど、また次回へ!

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